はい、改めて、ちゃんと説明させていただきます。
「バージンオイルとは」
まずオリーブオイルを作る工程は一般に次のようになります。
まず摘んできたオリーブを洗浄した後、潰してペースト状にします。
そのペーストをマットに挟んで圧力をかけたり、遠心分離などを行って固形物やと水分を除きオリーブの果汁を抽出します。
抽出後は、澱を取るためにせいぜい濾過や遠心分離などの物理的・機械的処理しかしません(化学物質を使いません)。
日本酒や醤油をつくるときの、もろみを絞る姿をイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。
この抽出しただけの、精製をしないオイルが「 バージンオイル」になります。
いわゆる一番搾りです。エクストラバージンとは、このうち、酸度が低いものをいいます(のちほど詳述します)。
またこのバージンオイルを精製したものは「精製オリーブオイル」と言います。
オリーブオイルは、搾った後に精製するかどうかで「バージンオイル」と「精製オリーブオイル」とに大きく二つに分かれます。
さて、精製というのは、抽出した原油がそのままでは不純物が多かったり臭いがきつかったりすることを嫌い、物理的・化学的に脱色や脱臭などの処理をする
ことです(溶剤による抽出のことでありません)。
大豆油にしろ菜種油にしろ、いまたいていの油は抽出した後に精製して、酸度は低いがクセの無いサラッとしたオイルに仕上げています。
オリーブオイルの場合でも、バージンオイルのクセが気になるとか、品質の低いバージンオイル(酸度が極端に高い)を精製して酸度を下げるために、栄養や風味が損なわれるのを覚悟の上で精製してしまうんですね。
オリーブオイルでの一般的な精製工程は、脱ガム、脱臭、脱酸、脱色です。例えば蒸気を吹き込んでガム質のものを取り除いたり、水酸化ナトリウムを使って遊離脂肪酸を取り除いて酸度を下げます(脂肪酸の遊離している度合いが高い=酸度が高いのです)。
精製をすると、酸度は低くなり、またクセはなくなりますが、オリーブオイルが本来持っている微量要素や風味が失われます。
そのために栄養素や味わいを求めるなら、バージンオイルのほうが適しているのです。
まとめると、
「バージンオイル」というのは、物理的、機械的方法だけで圧搾する方法で抽出し、かつ精製していないオイルのことを指します。
生活クラブの玉締め法のごま油も、玉締めで抽出した後は未精製でしたね。
これもオリーブオイルの規格でいえばバージンオイルになります。
そして、よく「ピュアオリーブオイル」とか単に「オリーブオイル」という品名で売られているものが、この「精製オリーブオイル」と、並以上の品質の「バージンオイル」をブレンドしたものです。
風味のない精製オリーブオイルと、風味をもつバージンオイルをブレンドして仕上げるというわけです。
例えて言うと、芋焼酎のクセを抑えて飲みやすくするためにクセの無い焼酎で割ったり、原酒に醸造用アルコールを加えて
るのと同じですね。
芋焼酎ブーム以前の鹿児島とか、昔の日本のウィスキー作りみたいなものでしょう。
日本酒の世界に例えると、バージンオイルは純米酒。ピュアオリーブオイルはアルコール添加酒とでもいえるでしょう。
ちなみにバージンオイルと比べてピュアオリーブオイルがそれほど安くないのも、それだけ精製やブレンドの手間がかかっているからといいます。
よく溶剤を使って抽出しているのではないか、という不安があるかもしれませんがご説明します。
オリーブの実からオイルを取り出す方法(=抽出方法)は、大きく分けて2通りあります。
一つはバージンオイルのように物理的、機械的方法だけで圧搾する方法です。もう一つは溶剤を使って抽出する方法です。
前者ははじめに書いたように、ペースト状にしたすりつぶしたオリーブから、濾過や遠心分離、最近では表面張力などの方法で、オイルを取り出します。
後者は、いったん搾ったオリーブ滓から、ノルマルヘキサンなどの化学的溶剤(いちおう食品添加物として使用は認められていますが)で抽出します。
このオイルは「オリーブ残渣粗油」」と言われています。
そしてこの「オリーブ残渣粗油」を精製したものを、「精製オリーブ残渣粗油」と言います。
この「精製オリーブ残渣粗油」を、並以上の品質の「バージンオイル」とブレンドしたものを「オリーブ残渣油(=オリーブポマースオイル)」と言います。
「オリーブ残渣油(=オリーブポマースオイル)」は、日本では滅多に売られていないと思います。
言い換えると、通常日本で売られているオリーブオイルには、溶剤抽出のオイルは使われていないといってもよいでしょう。
溶剤抽出のオイルが使われている商品には「オリーブポマースオイル」(オリーブ残渣油)と表記されているはずです。念のため。
|