Real Fine Olive Oil & Real Facts From Villages of The West Bank, PALESTINE
                                                                                  セーブ・ザ・オリーブ・プロジェクト

















国際
オリーブオイルカウンシル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


オイル集散地の
NGOコーディネーター
(ナブルス近郊の村)


さて、「バージンオイル」の意味がだいたいわかったところで、「エクストラバージン(以下、EXV)」とはなんぞやということですが、ここからが問題です。
 

   「エクストラバージンオイルとは」

よく見かける説明では、EXVは「風味が良好で酸度が1%以下のもの」となっています。しかしこれは世界各国で普遍的なものではありません。

じっさい「エクストラバージン」なる規格は、西欧での流通に必要になったから区別されたようなもので、初めて明文化されたのはそう昔のことではありません。1956年に第一回のオリーブとオリーブオイルの交易に関する協定ができ、それに基づいて国際オリーブオイルカウンシル(IOOC)が創設されて定められました。IOCCの本部は世界最大のオリーブオイル生産地であるスペインのマドリッドにあります。

確かに現在では全世界のオリーブオイル流通の80%、消費量の70%はEU域内ですし、オリーブオイルの規格はヨーロッパを中心に決められてきました。

しかしEU外、例えばアメリカ合衆国はIOOCに加盟していないため、公式にはエクストラバージンとは使っていません。
アメリカ農務省は1948年の独自規格を持っていて、それによると「ファンシー」とか「チョイス」、「スタンダード」というグレード分けがされています。
 
オリーブオイルの規格は、EU、IOOC、CODEX,イタリアの国内法など微妙に異なる区分けがされています。
 
規格自体も変化しており、IOCCの場合、2003年にはそれまでの「酸度1.0%以下」という基準を「酸度0.8%以下」に変 えました。
IOOCの提案によってEUもその規格に合わせたようです。
カリフォルニアのオリーブオイルカウンシルも、0.8%を提案しています。

IOCCによる最新の規格を例に取ると、エクストラバージンオリーブオイルは、「オレイン酸における遊離脂肪酸が100g中0.8gを超えず、その他の当基準に適合するバージンオイル」となっています。その他の基準は訳出していませんが、風味に関して言えば、100%欠点のないもの、ということになっています。詳細はこちらです(英文)

しかし試しにインターネットのオリーブオイル販売のサイトで、規格について紹介してる記事を調べてみてください。上記の最新基準を紹介しているところは皆無といってよいでしょう(2004年10月1日現在)。またEXVの基準を酸度1%としているところがほとんで、最新の0.8%という情報を載せているところはほんのわずかです。だからといって 美味しいオリーブオイルという視点から見れば何ら問題はありませんが。

つまり、ことほど左様にEXVの規格は、はっきりと決まっているわけではない、変化しているということです。しかもEU法やイタリアの国内法による 規格は、域内は強制力はありますが、域外の製造者や販売者にとっては、強制ではありません。IOCCの規格もIOCCに未加入であれば、採用は任意です。だから今でもEXVの酸度は1.0%以下としてるところが多いのです。

問題は、小さな生産者や、昔から変わらず自分たちが美味しいと思うオリーブオイルを作っている人びとにとっては、村の外から グローバルな基準を持ってこられても戸惑うだけ、ということです。

ましてや非西欧世界のシリアやパレスチナなどは、西欧の基準であるEXVという考え方とは無縁だったのですから。
古来オリーブオイルは、うまいかまずいか、の違いだけだったのです。それが、化学的検査方法が発達したおかげでEXVという基準を区別することができるようになったというわけです。

昔は、お米のタンパク値やみかんの糖度を図る必要がありませんでした。 人間の舌が総合的に判断していました。域外に販売しようとするとそうした数値基準が有用になるのです。

農家の手作りみそや漬物がなぜうまいかは、一言でいえば商品化がもたらす均質化という弊害を免れているからです。つまり個性や鮮度が活きているからです。一見、数値志向とは矛盾しないようですが、よほど注意しなければ結果として個性や鮮度感が失われていくケースが多いのです。
 
日本で販売されているEXVオリーブオイルは、、IOOCの基準に合わせている例がほとんどです。
その理由は以下のように 考えられます。

IOOCは生産者・流通団体ですから、輸出力のある国、メーカーが主導となっています(日本語版ホームページには国連によって設立されたと書いてありますが、 正確には国連機関の後押しによって設立された政府間組織です)。
日本に輸入しやすいのは、そうした輸出の意向とノウハウを持っているメーカーや生産者のオイルです。
そのため、日本に入ってくるオイルは国際オリーブオイルカウンシルの規格を採用したものが多くなるということだと思います。
またIOCCの会合に招待されている流通関係者、ジャーナリスト、研究者は少なくありません。したがって情報もIOCCのものが多くなっているのが実情でしょう。

また輸入者側の日本のバイヤーも「オリーブオイルといえばイタリアが本場、安くて良い品はスペイン」だと思っています。きれいなボトルとラベルですでにかっちりと商品化されていますから、輸入・販売もしやすいのです。
こうした状況下では、宣伝力も乏しい、国としての知名度も低いマーケティング力の弱い生産国のオイルは必然的に国際流通しなくなります。
その結果、通常はそれらの国のオイルがイタリアに輸入されてボトリングされ、イタリア産として出回っているのは有名な話です。

知人を介して聞いた話では、あるIOOC委員はパレスチナのオイルは最高だと言っていたとのことです。しかし現実には、マーケティングの力によって消費者の選好までが作られていくというのが現実です。

言い換えれば、「エクストラバージン」という基準は、一見消費者のためにあるようで実は生産者のために作られた基準だといってもよいでしょう。しかも大生産者のためです。
その結果、カウンシルの基準が事実上の標準となり、小規模生産者のオイルでも、カウンシルの基準を使うようになっているのが実態です。 ちなみにいまではほとんどのオリーブオイル輸出国はIOOCに加盟しています。

しかし、例えばEU内でエクストラバージンと名乗るには、何項目にもなる化学的検査、官能検査が必要です。費用も手間もかかります。小規模の生産者にとってはEXVと名乗ることは難しいことです。

実に、有機農産物の認証と似た問題をはらんでいるのですね。この辺の話は私の専門のひとつ(研究テーマ)なのですが、長くなるので改めます。遠からずなぜ有機農産物と名乗らないのか、についても説明させていただきます。





※2005年10月より試験的に「エクストラバージン」という基準の仕様を休止し 、エクストラバージンかどうかに関わらずすべてバージンオイルとして販売しています。


閑話休題。

では、セーブ・ザ・オリーブでいう「エクストラバージンオイル」の基準はなにかというと、現在のところ「風味がよく酸度が0.8%以下 、過酸化物価20以下のバージンオイル」としています

これは、当方が購入しているパレスチナの農業NGOがそのように定めているため、その基準を採用しています。
 
また同じく「バージンオリーブオイル」の基準は、「風味がよく酸度が2%以下のバージンオイル」です。
これは、やはり2003年の変更前に存在した「ファインバージンオリーブオイル」という規格です。変更後は「ファインバージンオリーブオイル」の規格は「バージンオイル」 というだけの表記になりました。
以前は「エクストラバージンオイル」と「ファインバージンオリーブオイル」を区別する違いは、官能ではなく酸度の数値だけとされていましたが、EUの最新(2003年)の基準では、官能の結果も数値化されて区別されています。
 
なお当方が扱っている「バージンオリーブオイル」の酸度は実測値0.7〜1.5%前後です。
 
 
長くなっておりますが、最後に一項目付け加えさせてください。
 
  エクストラバージンの抱える問題


実は「エクストラバージン」問題と言ってもいいくらいですが、「エクストラバージン」至上主義、これが曲者なのです。
 
確かに酸度が低いとサラッとした舌ざわりで風味が新鮮に感じられます。しかし酸度の低さだけでは、品質の良さの証明とは言えません
 
数年前にイタリアの大メーカーが、エクストラバージンオイルにトルコ産のヘーゼルナッツオイルを混ぜて酸度を下げていたという事件が大きな問題となりました。
白さが足りないので入浴剤を入れていた白骨温泉の有名旅館なみたいなものでしょうか。
そうした偽装は別として、酸度を下げるだけなら比較的簡単に下がるものです。
若い緑の実を使うと、酸化しにくく酸度が低く抑えられるからです。
 
確かに酸度は低くなりますが、味に苦味が残りスパイシーになります。
一般に緑の若い実を搾ったオイルは葉緑素が多いことが特徴です。
ちなみに葉緑素は光に弱いため、早く摘んだものほど光をさえぎる濃色のボトルを使う傾向があります。
 
これに対し、完熟のオリーブから搾ったオイルはコクや旨みを感じられます。
また古い樹から採れる実の方がマイルドで美味しいオイルになります。
一説には300年以上経ったものがいいと言われたりします。
ワインやお茶も古い樹のほうが珍重されたり、梅干に完熟梅を使うのと同じように考えていいでしょう。
 
パレスチナのオリーブオイルの場合、古い樹も多く、より完熟状態で実を手摘みしますので、旨みやコクのある、マイルドな味になります。骨太な味とも言われます。
そのかわり、ジュースでいっぱいになった実を採るので、傷がつきやすく酸化するのが早いのです。
 
酸度が上がりやすいが完熟の美味しさを取るか、酸度は低いが青い味を取るか、という選択なのだといえるでしょう。

パレスチナの農業NGOの輸出担当者に、酸度0.5のエクストラバージンと酸度1.2のバージンオイルと、自分ならどちらが好きか、と尋ねたことがあります。彼は、ちょっと照れながらバージンオイルだと答えました。

パレスチナでは、人々はエクストラバージンのさらっとした味よりも、酸度は高めの味わいを好みます。通常に収穫して搾油すればたいてい酸度は低く、エクストラバージンになりますが、あえてそうしないということです。エクストラバージンをちびちび使うより、味わいのある酸度やや高めのバージンオイルをどばどば使う、という趣向です。

そのため、私たちもエクストラバージンをちびちび使うのではなく、現地のようにバージンオイルをたっぷり使うということにしたいと考えています。

確かに古代ギリシャの記録では、完熟の実からとったものより青い実からとったもののほうがオイルの品質が良いとされていました。

これは推測ですが、現代に比べ当時は製造・輸送・保管時を通じて品質劣化が早かったため、完熟状態で取ると酸度が上がりすぎたのではないかと思われます。

一昔前のスーパーで売っていたトマトを思い出してください。昔はトマトはかなり早めに青取りしましたので、店頭に並んだころには色と形だけはトマトで味のないものでした。いまでも遠隔の大産地のトマトはそうです。しかし近ごろは完熟に近い状態で収穫したものが出回っていますからトマトの美味しさそのままが味わえます。

話はもどります。最近は酸度の低さを売り物にしたエクストラバージンがもてはやされたため、青い味がオリーブオイルらしさのように思われています。しかしこれは誤解です。
あの青さが苦手で、オリーブオイルをいろいろな料理に使えないと思っている人も多いでしょう。でもほんとうの完熟オリーブは青臭くありません。

確かに欧州でも酸度の低いものや青くてアタックの強いものが流行しているようですが、それはイタリアでも北側の話です。

イタリアでは北に行けば行くほど冷害を恐れて早めに収穫する傾向があります。そのため緑のうちに収穫することになります。それで北の人たちは青い味のオリーブオイルをいいと思うのでしょう。身土不二です。
さらに初物ブームは万国共通らしく、「グルメ」の間では若い味のオイルへと前倒し傾向にあるようです。江戸の人間が脂の乗った旬の食材より「はしり」をありがたがる姿にも似ていますね。

イタリア南部はアタックにだまされない、コクのある完熟系の味です。
関西人が、東京のすました連中が食べているうどんのつゆなんか食えたもんじゃない、言う姿と重なります。

どちらが美味しいかは、最近流行のオリーブオイルとパレスチナのオイルをパンにつけ、食べ比べてみてください。あなたのお好みはどちらですか。













アメリカのオリーブオイル生産モデル
さて、パレスチナではいま経済が厳しいこともあり、なるべく完熟で油がたっぷり入った状態で収穫しようとします。
 
よく、○kgのオリーブの実からたった△kgしかとれない貴重なオイル、という触れ込みで謳っているのもありますが、結局、青い実を使うとオイルがあまり採れないので歩留まりが悪いことの裏返しだともいえます。もちろん青い実独特の有効成分を狙うという場合もあるでしょうが、それを完熟系のオイルよりも貴重なことだ訴えるのは奇異だと思います。
 
とくにいまカリフォルニアを中心にオリーブ栽培が盛んですが、力づくで奪ったゆえに安く手に入ったあり余る土地を使い、歩留まりが悪くても機械で摘み取りやすい青い実でオイルを量産できる、しかも疎植にしてオーガニック栽培がたやすくできるという姿は苦々しくさえ感じます。
これはオリーブだけじゃなく、麦、大豆、綿、米など南北アメリカやオーストラリアなどの収奪型農業全般に言えることですが(もちろん北海道もその責は免れません)。

いわんやイスラエルはいまこうしている間でもパレスチナの土地の没収を日々進めています。国際法的にも人道的にも許されないのにもかかわらず、国連のたび重なる非難決議や人びとの抗議の声は無視され続けているという異常な事態です。



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